超広角10mmの世界(某工事現場編)
お猿@おはようございます。
名機「Nikon D80 」にいろんなレンズを付けて検証しちゃおうっていう企画をやってきましたが、さすがに鬱陶しいのでそろそろ超広角ズームレンズの検証は今回をもって最終回。次回からは、また別のものを検証したいと思う次第であります。まあ、最終回なので、お猿所有の交換レンズを全て出しきって(……と言っても3本だが)「超広角10mmの世界」シリーズを有終の美で終わりたいと思います。で、所有レンズは下記の3本。
- SIGMA「10-20mm F4-5.6 EX DC /HSM
」
- NIKON「AF-S DX VR Zoom-Nikkor ED 18-200mm F3.5-5.6G (IF)
」
- NIKON「Ai AF Nikkor 50mm F1.4D
」
……ってとこです。
今回の舞台は、某工事現場。基礎工事の真っ最中で配筋真っ最中のところをおさえてきました。ここ2連戦で四隅の色収差が顕著に出てしまっているVR 18-200mmですが、縦横に張り巡らされた鉄筋を前にどういう結果が出るのか乞うご期待!更に今回は今までの被写体では気にならなかったアレが顕著に出ているのでお見逃しなく!
今回もSIGMA 10-20mmの性能評価を中心にニッコールの性能評価もしていきたいと思います。基本撮影ルールは、絞り優先でF8、ISO100、露出補正は0EVということでお願いします。また、今回は面倒なんでヒストグラムはカットということでお願いします。では、早速行ってみましょう!
●焦点距離「18mm」対決!
一応、左がSIGMA 10-20mmで右がNikon VR 18-200mmという順番です。
空まで入った広角18mmでの勝負!ここで「ある違い」に気づくだろうか?(クリックで実画像が開きます)
まずは右上の民家の周囲に大差が出ていたのでご覧いただきましょう。
右のVR 18-200mmに顕著に色収差が出ている
この手の空の入った写真では、空との境界に色収差が目立つというのは、前回の「親鸞会・同朋の里」さんでのサンプルで紹介した通り。今回もものの見事にVR 18-200mm側の屋根の周囲に出現してしまっている。反面、SIGMA 10-20mm側は綺麗におさえられている。次は左下の鉄筋を拡大してみた。
VR 18-200mm側の縦の鉄筋の両側に色収差が見られる
更に右中央の鉄筋をアップしてみましょう。
これでもやっぱりVR 18-200mm側に色収差が見られる
……ということで、予想通り見事なまでに鉄筋周辺に色収差が見られた。……が、今回のサンプルで前回までに目立たなかったあるものが気になった。それが「歪曲収差」というもの。特に高倍率ズームになってくると、何かを犠牲にしなきゃならないようで、歪曲収差などが目立ってくるようだ。特にこのVR 18-200mmの最大広角の18mm側では樽型の歪曲週差が目立つようです。それを見てみよう。まずは、SIGMA 10-20mmを見てみると、
赤線が直線だが、鉄筋もそれに沿って真っ直ぐになっているのが分かる
……と超広角ズームレンズながら歪曲収差が全くと言っていいほど良好に修正されている。基準となる赤い線を引いてみたが鉄筋も赤線に沿っていることが分かる。では、お次は高倍率ズームレンズのVR 18-200mmを見てみよう。
青線が鉄筋のラインだが、これでもかってほど樽型に歪曲しているのが分かる
前回までのサンプルは直線部分がなかったために目立たなかったが、今回のように縦横に直線に走る被写体があると、その歪曲収差がハッキリと見て取ることができる。色収差だけでなく、歪曲収差までも良好に修正してくれるSIGMA 10-20mmの威力はスゴイ。
では、お次は20mm対決行ってみましょう!
●焦点距離「20mm」対決!
18mmの時より歪曲収差は目立たなくなっているのが分かりますか?(クリックで実画像が開きます)
……とまあ、たった2mmの差だが、18mmの時のような歪曲収差は目立たなくなっている。そうは言っても、やっぱりVR 18-200mm側には樽型の収差が出ている。では、左のボルトをアップして見てみましょう。
これは見事にボルト両側に色収差が出ちゃっているのが分かりますね
そして、お次は右下の鉄筋。
色収差も出ているし、解像感もイマイチ。反面、10-20mm側の鮮明さはさすが
……ということで、やっぱり10-20mm側に軍配が上がってしまいました。さて、ここでソロに行ってみましょう。SIGMA 10-20mmのオハコである最大広角の10mmの世界をご覧いただきます。
●焦点距離「10mm」の世界!
手前のブルーシートまで映ってしまうのは、さすがに10mmの世界!(クリックで実画像が開きます)
18mmの世界では樽型の歪曲収差を出してしまったVR 18-200mmに対し、良好な補正を見せてくれた10-20mmだが、ここに来て若干の糸巻き型の歪曲収差が出たような気がする。そうは言っても横の鉄筋を見た範囲では軽微なものだが……?
では、左側の鉄筋と左上の建造物の窓付近をアップで見てみよう。
いずれも色収差が良好に補正されている。それにしても変形がすごいな……
正直なところ、右の窓枠や外壁の継ぎ目なんかにフリンジなんか出たりするかなと思ったんですが、これまた見事な描写力。本来は垂直の建物もこれだけ変形してしまうのは超広角のご愛嬌。むしろ、これくらいでないと迫力が出ませんがね。
次に、SIGMA 10-20mmを離れて、他の2本を見てみよう。VR 18-200mmの望遠側の描写力を試していなかったので、望遠200mmをご覧いただきたい。
●焦点距離「200mm」の世界!
望遠ですが、思った以上にクリアな画像が得られた(クリックで実画像が開きます)
比較するものがないので何とも言えないが、無補正でこれだけの描写が出るとは正直思っていなかった。同等の単焦点を持ってきたら、ネムさを感じるかも知れないが、まあそんなの高すぎて買えないのでこれで十分です。次は、右下と中央のアップを見てみたい。
右下アップは若干の色収差が見られるが良好。中央は鉄筋の質感まで見事に描写している
なんか、広角18mm側よりも望遠200mm側の方が解像力は良いように感じる。ただ、以前にも紹介したように望遠側になると周辺に減光が生じるので、望遠もパーフェクトとは言えない。
そして、解像感や諸収差の影響を受けない「シンプル イズ ザ ベスト」の単焦点レンズの威力を見ていただきたい。VR 18-200mmに対抗するは、50mm F1.4の単焦点。ニッコール同士の対決だ。VR 18-200mmは50mmに固定しての試験だ。
●焦点距離「50mm」対決!
50mmになってくると安定してくるのかVR 18-200mm(左)もかなりの描写力(クリックで実画像が開きます)
超広角でも望遠でもない、50mmくらいになってくると諸収差も消えてなかなかの描写に感じられる。アップにはしていないが、パイプ断面の文字もかなりクッキリと再現している。気になる右下の鉄筋のアップは……、
さすがに単焦点(右)の解像感は見事。でも、VR 18-200mmもなかなか好成績
右上のスペーサーはどうかな?
若干ピント位置より奥だが、単焦点の解像感はさすが
最後に最もピントの合っている中央部分に行ってみましょう!
鉄筋の凹凸もクリアに再現している。VR 18-200mm側もかなり好成績
単焦点はシンプルなるが故に諸収差があまり出ないので、サビなんかまでもかなりリアルに再現してくれている。少し離れて撮ったとは思えない描写力ではないだろうか?それでも、全体的に50mmくらいまでズームを持ってくると高倍率ズームのVR 18-200mmも好成績。この辺はさすがにベストセラーレンズと言うべきか……。
……というワケでしつこく3回に分けて検証してきましたが、結局は広角は広角レンズに任せとけっていうことですね。最後の最後に歪曲収差までも良好に修正してくれることが分かった。これは見事というしかないかもしれない。
では、次回からまた別テーマでNikon D80を巡る環境を検証していきたいと思いますので、懲りずにお付き合いくださいませ……。
工事現場に入るときはヘルメットを着用しましょう!
ではでは。
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この記事へのコメントは終了しました。
コメント
広角は敵いませんでしたが、50mmあたりからその後200mmまでは、そこそこがんばってくれたようで安心しました。
投稿: しゅんぱぱ | 2007年5月11日 (金) 18時10分
しゅんぱぱさん、しつこく超広角対決をやってしまったのに、コメントサンクスです。
50-200mmの間でも惨敗だったら目も当てられません。今後、広角はシグマに任せて、それ以上はVR 18-200mmにお任せしようと思う所存です。
それにしても、縦横の鉄筋でこれだけ目立つ歪曲収差が出るとは思ってもみませんでした。いろいろと試してみるもんですね!
投稿: フォトグラファー猿 | 2007年5月11日 (金) 18時21分
レポお疲れ様です。
VRも付いてることだし、このレンズはやはり望遠側で「オイシイ」のかもしれませんね。
投稿: flipper | 2007年5月11日 (金) 20時28分
flipperさん、コメントありがとうございます。
このレポも今回でおしまいということで、次回からはストロボ系に走ってみます。
それにしても、VRの威力はスゴイですね。ボディ内補正の機種もあるけど、ファインダー内で補正を確認できるのは非常に有り難い。まあ、VRレンズ買わないといけないんだけど……。
それはそうと、意外と望遠がシッカリしていたので満足しています。
投稿: フォトグラファー猿 | 2007年5月11日 (金) 20時32分