ストロボ撮影でバウンス角度を検証する(1)
お猿@おはようございます。
毎度のNikon D80 検証です。前々回よりNikon純正の最上位クリップオン式ストロボ「SB-800
」を用いたストロボ撮影の検証を行っております。前々回はストロボを被写体に向けてフラッシュをそのままブッ放しちゃダメだよ、ということで、ディフューザーを用いての検証をやってみました。それで、今回はクリップオン式ストロボならではの「バウンス撮影」について検証してみます(豪華!?GIFアニメ付!)。
ディフューザー撮影にしてもバウンス撮影にしても、あのストロボ臭い「テカリ」や「影」の問題を解決するストロボ撮影のテクニックなワケですが、今回もストロボ撮影の指南書「デジタル一眼レフストロボ100%活用術 」に書かれている事を試してみました。
ディフューザーを用いたストロボ撮影はクリップオン式ストロボ(外付けストロボ)だけではなく、LumiQuestの「SoftScreen 」とかkenkoの「SDF-26
」といったディフューザーも出ているので、内蔵ストロボでも可能な撮影方法です。ところが、バウンス撮影はクリップオン式ストロボならではの撮影方法。これこそ、自然なライティングができるストロボ撮影の王道だと思うので、今回はこれを試してみたいと思います。
まず、このバウンス撮影をするにはクリップオン式ストロボがあればどれでもできるのではなく、発光部の角度を変えられるもでなければなりません。そうなってくると、Nikon純正の場合は「SB-800 」と「SB-600
」になってくるわけで、発光部水平方向固定機種の「SB-400
」などでは制限ができてしまいますので、ストロボを購入する時には、割高ですが前者のような機種を選択するのがいいでしょう。
ちなみにSB-800の場合は、上下方向には下写真のようにフラッシュヘッドの角度を変えることができます。前方は0度からスタートして45度、60度、75度、そして、垂直。後方にも0度、45度、60度、75度に角度を変えることができます。
SB-800のフラッシュヘッドの角度は垂直方向は9段階に変更が可能
ストロボ撮影では、殆ど点光源である発光部の鋭利な光を如何にしてやわらげるかということなんですが、その為には、その光をできるだけ拡散させる必要が出てくるわけですね。発光部のちょっと前方で拡散させるのがディフューザーなんですが、さらに拡散させる方法がバウンス撮影。これは、一旦、壁や天井に反射させることで拡散させるというもの。ディフューザーより格段にやわらかい光を得られるので是非マスターしたいものです。
そこで、世間的によく行われているバウンス撮影は、斜め前方に照射して、そこからの反射光で被写体を照らすというもの。ただ、従来の僕の場合はこの前方照射で得られる写真がイマイチだったので、ストロボ撮影を嫌っていたんですね。……というのも、45度とか60度といった斜め前方という角度になってくると、被写体からするとトップライトみたいになって、人物撮影なんかやっていると顔に影ができてしまうんです。丁度、蛍光灯の真下で撮影するようなアレです。そこで、これを解決してくれたのが、斜め前方ではなく斜め後方に照射するというもの。
では、その角度による効果のほどを、連続写真でやってみましたのでご覧ください!ちなみに今回のモデルは当ブログのマスコット「毒龍クン」です!(しつこいが、豪華GIFアニメぢゃ♪)
バウンス角度に応じてどのようにライティングが変わるか分かっていただけるでしょうか?
まあ直射発光は言うまでもなく、テカリ&カゲの2拍子が揃っちゃってダメダメですが、斜め前方照射は一見良さそうです。前方45度で後方の影が全く出ていないというのはさすがですね。でも、被写体の上方からのライティングになるので毒龍クンの鼻下付近が完全にダークになっちゃっています。ここでは毒龍クンの目が上に付いているので気にならないですが、人間だと目の付近にカゲができてしまいますので、あまり良くありませんね。
これが斜め後方照射になると、アンブレラを用いたフロントライトみたいになるので、そこそこに鼻下にもやわらかな光が回って自然な感じに仕上がっています。それでいて、真正面から当てたみたいな平面的な絵には仕上がっていないので、イイ感じじゃないでしょうか?まあ、真後ろというのはやめた方がいいみたいですね。
ただし、注意したいのは反射光であることに加えて、反射面から被写体への距離が前方照射に比べて遠く、減光してしまうので発光量や露出量もプラス補正しなければなりません。まあ、その辺はいろいろと試してやってみるのがいいでしょう。なんせデジカメですから、撮った直後からヒストグラムなんか見たりして調整はできます。また、一旦反射させるために光に壁の色がカブってしまいます。極力、反射させるのは白い壁や天井が望ましいですが、なかったとしてもWB調整やレタッチで何とかできます。一応、先ほどのサンプルは大雑把な露出補正をかけてありますので、明るさなどは変わっていないように見えていると思います。
さて、お次にディフューザー撮影の検証でも登場したストロボについてくる「バウンスアダプター」を使ってみたいと思います。フラッシュヘッドにカパッと取り付ける白いプラスチックの箱です。名前からも分かるようにディフューザーというよりも、バウンス撮影で効果があるものと思われますので、これを使うことでどれほど違うものか検証したいと思います。これは、指南書ではやっていない検証ですので、完全オリジナル版ぢゃ♪
これがバウンスアダプター。フラッシュヘッドにはめるだけです
一応、バウンスアダプターに関して、マニュアルにはこのように書かれています。
●さらに光をやわらげるバウンスアダプター
本機の光が、バウンスアダプターの5面を通して広い範囲に拡散され、通常のバウンス撮影に比べても、さらに光をやわらげ影を抑えることができます。カメラを縦位置に構えた場合でも、同様の効果が得られます。
- フラッシュヘッドは、上方向60度ぐらいで使用すると、最も光をやわらげる
効果が得られます。- ワイドパネルを併用すると、さらに光を拡散する効果が得られます。
……という感じです。
では、上方向60度で最適だそうですが、どんなもんか見てみましょう。
前方側バウンスでも鼻下が明るいのが分かるでしょうか?でも、後方にカゲが……
全景写真側を見ていただければ、バウンスアダプターなしの場合よりも指向性が弱くなっているのがわかると思います。発光面が5面になっている分、光は上下左右からも発光するので、斜め前方45度以上に向けても、微弱ながらも被写体の正面から当たる光もあるわけですね。つまり、正面から当たる光も反射されてきた光もあるわけで、その分、トップライトのみのライティングに比べて光の回り込みが確認できると思います。
その為か、アダプターなしの時には暗かった毒龍クンの鼻下部分にも斜め45度の段階から光が回っていて、なかなかいいじゃない?と思うのですが、残念ながら正面からの光も出てしまっているので、毒龍クンの背景に若干のカゲが出てしまっているのが分かると思います。その点、やっぱり斜め後方への照射がいいようですが、そうなってくるとアダプターで拡散させる必要性もなく、むしろ減光させるためだけに付いてしまっているので無い方が無難かと思います。
そういうわけで、斜め後方への照射がベストだと思いますが、皆さんは如何でしょう?照射角度は被写体までの距離や、希望のライティングに応じて変えていったらいいのではないかと思います。一応、自分なりには被写体への距離がある場合は斜め前方へのバウンスも可ですね。そこら辺の使い分けも経験値だと思いますので、いろいろと試してみてください。
では、今回は水平方向の回転は0度でしたので、次回はストロボの水平方向への回転も交えたバウンス撮影に挑戦してみたいと思います。(もちろん、GIFアニメ解説付!)
ではでは。
~今日のリンク~
高森光晴:挨拶PC・AV周辺機器が直輸入で激安 上海問屋
| 固定リンク
「携帯・デジカメ」カテゴリの記事
- 北日本新聞で「工場萌え」フォトグラファーとして登場!(2010.06.27)
- AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR II だぜっ!(2010.01.31)
- 海王丸パーク写真コンテストで入選でした(2009.12.31)
- CFを洗濯しました(汗)(2009.11.30)
- Nikonがいろいろとオモロイことをやってくれます♪(2009.10.17)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
こういう記事を拝見しちゃうと、やっぱりスピードライトが欲しくなっちゃいますね(汗
急場しのぎに内蔵のものを使ったりしますけど、当然ながら直射しかできないので、歯痒かったりしますから・・・
欲しいもの(買いたい)リストの中での順位が上がっちゃいましたw
投稿: flipper | 2007年5月17日 (木) 00時40分
flipperさん、コメントありがとうございます。
また、物欲をあおってしまいまして大変申し訳ありません。
ちょっと広めの室内だとやっぱり外付けストロボって必要ですよね。でも、光量が大きいので、じゃじゃ馬を乗りこなすようにしないと大変です。バウンス撮影をもっともっと極めねばと思っている今日この頃です。
それにしても、デジタル一眼レフって金食い虫ですよね。最初は、こんなに機材を揃えるつもり全くなかったのに……。
投稿: フォトグラファー猿 | 2007年5月17日 (木) 09時09分
SB-800の垂直角は、水平角0の時のみ下方7度になります。
これは、近接撮影用です。
また、SB-400ですが、水平角こそは回転しませんが、垂直角90度までのバウンス撮影は可能です。
参考までに・・・
投稿: takashi | 2007年6月 2日 (土) 23時04分
> takashiさん、はじめまして!
なるほど、下方7度とは知りませんでした。確かに、ビミョ~に下に下がりますね。今までてっきり「あそび」だと思っていました。取説はキチンと読まないといけないな~と反省……。ありがとうございます。
ちょっと勉強不足……。反省反省……。
投稿: フォトグラファー猿 | 2007年6月 3日 (日) 01時09分