高画素コンデジは低画素デジイチに勝てるか?
お猿@おはようございます。
ちょっとニコンのクリーニングキットプロのレビューをしようと思ったのですが、案外素材作りに手間がかかっちゃいまして、思い切って脱線ネタにしたいと思います。その分、しっかりとネタを仕込みたいと思いますので、今回はコレでカンベンしてくださいね!
……では、今回のネタに行ってみますね。
今回は以前に行いました「同画素数でもコンデジとデジ一眼では違うのぢゃ♪」の視点変更バージョンです。そもそも、このネタをやろうと思ったのが、家電量販店のデジカメコーナーで痛烈に感ずる「高画素数神話」がキッカケなんですね。家電量販店でデジカメを買う人っていうのは大抵がコンシューマーでデジタル一眼ではなくってコンパクトデジカメ狙いなんですが、「画素数は大きければ鮮明で美しい写真が撮れる♪」という迷信をゴリゴリに信じきっているんじゃないかな、と思ったのでやってみたんです。確かに、有効画素数が大きければそれだけピクセルがあるわけなんで、細かいところまで描写はできるでしょうが、所詮はコンパクトデジカメです。フィルムカメラのフィルムに該当するCCDなどの撮像素子の大きさがデジタル一眼とは全く異なるんですね。いわば、ポケットフィルム vs 35mmフィルムっていう勝負みたいなもんですかね。
店員さんも分かっているのかいないのか分からないけど、顧客への説明は「画素数」と「ズーム」でしか勧めていないような気がする。しかし、小さなCCDしか持たないコンパクトデジカメの画素を増やせば増やすだけ、1つの画素の受光量が少なくなるのは当然で、その分、ノイズが発生しやすくなるんですね。ノイズといえばISO感度ですが、ISO感度が大きければ大きいほど、暗所での撮影には有利だし、シャッタースピードも稼げるので被写体ブレは防げるのだけど、その分ノイズとか粒子が粗くなってくるんですね。だから、ノイズリダクションってのが問題になってくるけど、これって荒っぽい言い方すると、ノイズをぼかして周囲に馴染ませているだけなので、解像感が落ちるっていう寸法です。
……で、問題は高画素になって他の部分が失われた宣伝もちゃんとしてくれよな、っていうことで、前回は800万画素クラスのCanon製のコンパクトデジカメとデジタル一眼レフの画質勝負をしてみました。
じゃあ、今回は何かと言いますと、高画素なコンパクトデジカメと低画素なデジタル一眼レフの描写性能の違いを検証してみたいと思う。もしかしたら、画素数では劣るデジタル一眼レフの方が綺麗に写るかもしれないからね。……ということで、今回もCanon vs Canonになってしまいましたが、下記勝負をしてみました。
- PowerShot S80(約800万画素)
- EOS kiss Digital(約630万画素):50mm F1.8単焦点レンズ使用
- EOS kiss Digital(約630万画素):28-300mm ズームレンズ使用
……でいってみた。レンズを2種類試したのは解像感で劣るズームレンズを内蔵しているのがコンパクトデジカメなので、部分的にフェアにやってみた。更に念のために、前回も使用した50mm単焦点も実験的に使用してみた。それで、今回の被写体は、原色系のミッキー&ミニーちゃんと富山のローカル紙である北日本新聞。そして、真っ赤な懐中電灯だ。すごくミスマッチなモデルだけど許してね!
今回のサンプルのセットはコレ。かなり無理があるセットと猛反省です
では、まずはミッキーとミニーの間から見える新聞の文字に着目。ミニーちゃんの影で暗くなっているものの、実際の文字の描写はどうだろうか?全てにおいて絞り値はF8にて撮影。ピントはミッキーの目に合わせたぞ。
●ISO100勝負
上からコンデジ代表のS80、下にkiss&単焦点、kiss&ズームとなっています
まずは、ノイズがまず発生しないであろうISO100で勝負してみた。まあ、コンパクトデジカメながら高画素というだけあって、文字を認識できるのはコンパクトデジカメであるS80だ。約600万画素のデジタル一眼レフとの約200万画素の差は大きく、下2枚のデジタル一眼レフはかなわなかった。ただ、既にISO100の現段階からコンパクトデジカメの粒状感がひどい。これは、ISO400になるとカラーノイズとなって顕著に現れてくる。
●ISO400勝負
さすがに、たかだかISO400で、これだけひどいノイズはビックリだ
一番上のコンパクトデジカメだけにはハッキリとノイズが発生している。これが、人の肌になってきたら致命傷ではないだろうか?更に、この元データからPhotoshopでレタッチを加えた際には、どんなガサガサの肌になっているか分かったものじゃない。レタッチ出身の僕としては許されないノイズ。反面、デジタル一眼側は解像感はイマイチながらもノイズはあまり目立たない。デジタル一眼レフのISO100から、あまり劣化が極端に現れていないのは、CCDの大きさからくる余裕かもしれない?
まあ、これだけで終わってもいいのだが、今回は被写体がこれだけビビッドなカラーを揃えているので、階調性も見てみたい。なんせ、先ほどの検証でノイズがあれだけ発生しているのだ。人物の肌といったら階調がどれだけ保たれるかが問題となる。そもそも、ダイナミックレンジも大きく影響するに違いない。高彩度域での再現性をミッキーの服で検証してみた。
●ISO100勝負
真ん中のデジタル一眼レフ&単焦点の再現性はピカイチだ
どうだろうか?画素数では勝っているハズの一番上のコンパクトデジカメだが、画素数で劣る下の2枚のデジタル一眼レフよりも解像力が劣っているように見える。特に単焦点で撮った真ん中のサンプルなんかになってくると生地の質感がクッキリと出ているのに驚く。一番上のコンパクトデジカメに至っては元来の粒状感と混ざってしまうのか生地の質感が失われフェルト生地のようにさえ見えてしまう。また、表現できる色域も狭いのかもしれない。部分的に色飽和が起きているように見える。
では、同じ部分を恐怖のISO400で調べてみた。
●ISO400勝負
コンデジの砂地のような質感に対し、デジイチの布の質感はさすがだ
一番上のコンパクトデジカメに至っては完全に生地の質感よりも高感度ノイズの方が大きく、さもノイズが生地の質感のように見えてしまう。起伏すらわからないくらいにまで画質が劣化。下のデジタル一眼レフで撮った2枚は余裕で生地の質感を再現。ISO400は高感度の部類にすら入らない模様だ……。
さて、質感にまで影響をもたらすとしたら、ソフトな肌ざわりっぽいミッキーの顔の毛並みはどうであろうか?ミッキーの口付近を拡大してみた。
●ISO100勝負
これなんか見ていると、微妙な階調を表現できないのがコンパクトデジカメだと分かる
どうでしょう?ISO100くらいではそんなに差がでていないようだが、表面の凹凸のあまりない舌部分の質感は完全に失われている。また右半分にも粒状感が目立つ。反面、デジイチで撮った下の2枚は下まで綺麗に描写。粒状感は全くと言っていいほど感じられない。これでは、舌の上の毛並みに大差が現れていないが、ISO400になるとコンパクトデジカメは完敗だ。
●ISO400勝負
やっぱり、高感度でのコンパクトデジカメは折角の高画素を台無しにするノイズが評価を下げる
ここまで来ると一番上のコンパクトデジカメ作品はガサガサだ。毛並みと言われてもわからない。反面、下のデジタル一眼レフの2枚はISO400でもビクともしない。肌ざわりの良さそうな毛並みが再現されている。特に中央の単焦点の再現っぷりは秀逸だ。
そんなこんなで、800万画素のコンパクトデジカメと600万画素のデジタル一眼レフという勝負を試みたのだが、200万画素の差をデジタル一眼レフは見事に乗り越えている。同じメーカーでコレだから文句は言えないでしょうね。
単純に画素数では勝っているのがコンパクトデジカメという設定でした。新聞の文字なんかでは、画素数の有利さがハッキリと出ていたが、ちょっとISO感度を上げるだけで画素数のアドバンテージを失ってしまうほどの弱さを感じた。
最近のコンパクトデジカメは、性能がアップしたように見えるが、事実アップしているのだろう。しかし、「コンパクトデジカメで○○画素のものは当機種がはじめて!」と高画素を謳ったり、「暗いところでもブレずに撮れる機種です」というのは、大抵はISO感度をISO800なりISO1600なりと高めに設定できるという意味なので、ISO400レベルで先程のような惨憺たる結果なので決して綺麗に写るというわけではない。「とりあえず写る」と思ったらいいでしょう。
従って、かわいい子供さんの姿をいつまでも残しておきたいと、子供の写真を撮るのなら……、コンパクトデジカメではなくてデジタル一眼レフをオススメしたい。値段はコンパクトデジカメプラスαくらいでレンズキットも売っている。しかも、小型軽量で持ち運びもいいし、望遠レンズなんかも付けられるので、学芸会やら運動会を撮るにしても大きく撮れるからいいとこだらけだ。間違ってもメガピクセルケータイだからとカメラ付き携帯で撮って満足するのだけはやめてもらいたい。あれはコンパクトデジカメよりもひどい仕上がりだと思う。
そんなワケで子供撮りで奥さん達にオススメできるデジタル一眼レフは、
- Nikon D40x
(1020万画素)……73,794円
- Nikon D40
(610万画素)……52,920円
- Canon EOS kissデジタルX
(1010万画素)……81,270円
- OLYMPUS E-410
(1000万画素)……80,808円
- SONY α100
(1020万画素)……82,593円
- PENTAX K100D
(610万画素)……64,680円
……という感じだ。標準レンズだがレンズキットでこの額なら、ちょっと頑張れば手に入れられるのでは?まあ、もっとズームが欲しければボディのみを買ってレンズは別購入というテもあるので、折角なら頑張ってみたい。ちなみにAPS-Cクラスの撮像素子を持つ大抵のデジタル一眼レフならば、1000万画素オーバーで十分きれいな写真が撮れる。これ以上の画素になるとノイズの観点からして35mmフルサイズ撮像素子を狙わないと綺麗に撮れないと思うので、現行のデジタル一眼レフは1000万画素が限界かと思う。最近の写真屋でのデジタルプリントサービスの画質は秀逸で、長く残しておきたいとなったらインクジェットでやるより、綺麗にいくと思う。その際、L判とか2L判サイズならば、1000万画素以下でも全く分からないくらいに写るので、無理して1000万画素オーバーを手に入れる必要性はないと思う。むしろ、1000万画素オーバーのコンパクトデジカメで撮ったものの方が仕上がりが汚いと思う。低画素&高感度のデジタル一眼レフで撮った方がよっぽど綺麗に残せる。それにしても、Nikon党の僕から言うのもなんですが、Nikon D40なんて本当に良心的だと思う。これだけあればコンパクトデジカメの上位機種は買えますからね。デジタル一眼レフで、かわいい子供さんの姿をキッチリ残してあげてくださいね。
では、今回はこれまで。
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コメント
おはようございます。
きっと私が最初にコメントしないといけないと思いまして・・・
今回も興味深く、また参考になるレポートお疲れ様です!!
私もS80をいまだメインに使用していますが、少し暗いときにISO400まであげてブレを抑えますが、やはりノイズの多さによる画像の酷さに、まいっていたところでした。高感度のフジのF10なんかは1600まであげても、コンデジなりにいい表現してくれるので、割り切っていれば使えるようで、こちらの方が重宝しています。
いよいよ来週にはD80購入するつもりです。レポートのとおり、今のところ私の被写体は子供がメインですので、よりいい画像で残そうと思えば一眼がベストだとは思いますが、いつも常にそばに・・・ってワケにはいかないかもしれませんので、S80も今後も相棒としてはがんばってもらうつもりです。
投稿: しゅんぱぱ | 2007年6月15日 (金) 09時05分
しゅんぱぱさん、ご無沙汰しておりました。
何はさておき、D80購入決定おめでとうございます!!(ボーナス出たんでしょうか!?……と突っ込んで聞いてみたりする)
僕としては、D80は「でっかい80」、S80は「スモール80」ということで、携帯してパッとスナップを撮りたい時にはS80は便利ですよね。広角28mmっていうのが効きます。でも、やっぱり写真屋でプリントしたり、自前でインクジェット出力した時に「うがーっ!」と思ってしまうのが、コンパクトデジカメのISO400ですね。個人的に許せません(笑)。なので、最近はもっぱらデカイカメラバッグを「携帯」しておりますので、肩コリがひどいです。
まあ、D80はノイズに関して秀逸ですよ。今回のEOS以上の性能です。低感度には流石に画質ではかないませんが、やっぱいいわデジタル一眼レフっていう感じです。
まあ、何はともあれステキなD80ライフを送ってくださいね!喜びのレポートお待ちしておりま〜す♪
投稿: フォトグラファー猿 | 2007年6月15日 (金) 11時54分