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アクティブD-ライティングはマニュアル露出で使うな!?

 お猿@おはようございます。

 Nikon D300をゲットしてからというもの、さすがにNikonに於けるDXフォーマット(APS-Cサイズ)デジタル一眼レフカメラのフラッグシップ機ならではの多機能ぶりを必要以上、そして、過剰なまでに粘着検証しつつあります。

 中でも、Nikon D80時代からダイナミックレンジから来る白トビに悩まされ続けてきた僕としては、D300が引っ提げてきた「アクティブD-ライティング」は実に魅力的!シャドーのみならず、ハイライトまで面倒を見てくれるというスグレモノ……のはずですが、当ブログで検証してみると、シャドー側には強いけど、どうもハイライト側は微妙に弱くない?という結果でした。

 ……で、べあまんさんがコメントに付けてくださった研究課題、

アクティブD-ライティングを使用するのと、RAWで撮影後CaptureNXでD-ライティングを施すのとではどのように違うのでしょうか?

 に答えようと、これまで検証してきまして、前回のアクティブD-ライティング対決! <D300 vs CaptureNX>をもって、この研究課題は終わったかのように思いましたが、ぶんさんがコメントに付けてくださったツッコミ、

アクティブDライティングですが、デジタルフォトの11月号にヒントがありますよ。大雑把に言うと、露光をアンダー気味にしてシャード部分を部分的に補正したりトーンカーブを最適化してるようです。露出を含んだ機能だから撮影後にONには出来ないようですよ 一方のDライティングは撮影されたデータの暗部を単純に持ち上げる機能です。

 を読んで、改めてアクティブD-ライティング(以後、ADL)の仕組みを見直してみようと思いました。今まで、ただ単にD300が搭載するCMOSのダイナミックレンジが技術の向上で広がったのに加えて、EXPEEDによるD300内のソフトウェア的にカーブを調整することによってADLが実現しているのかと思っていましたが、デジタルフォト11月号に掲載されていたNikonの開発陣のインタビュー記事を読んでみますと、それだけではないことが分かりました。つまり、

  • ハイライト側は、ADLをONにすると撮影段階で若干アンダー目に露出をコントロールする(ハード的にコントロール)
  • シャドー側は、露出アンダー目に撮ってできた多bit画像のシャドー側をゲインアップすることで、階調を再現している(ソフト的にコントロール)

 ……ということで、ハイライト側の階調の確保方法とシャドー側の確保方法は別モノということが分かりました。この辺の僕なりの理解を図解で示してみました。

 なんと、無駄にGIFアニメで解説だよっ!!(2秒でコマ送りされるので見落としたら最初に戻るのを待ってね!)

2001141

 ……ということです。

 だから、露出を絞り優先モードなんかにした場合は、露出はカメラ任せなので、アンダー目に撮って……というハイライト側の階調を確保できるのですが、マニュアル露出の場合は、絞りもシャッタースピードも固定されてカメラ側でコントロールできないので、ハイライト側の階調確保ができません。その為に、シャドー側のゲインアップのみが行われ、全体的にハイライト側にシフトする「ただのD-ライティング」になってしまいます。

 この辺の心配は的中で、そんな記事も書かれていました。そして、案の定、マニュアル露出で検証した前回の記事は見事に白トビの改善があまりなされなかったわけですね。そこで、今回は撮影段階で露出は「絞り優先オート」にして、測光は「マルチパターン測光」を適用。三脚でガッツリ固定してフレーミングは動かないようにして、短時間でADLの適用を変えて再チャレンジしてみました。

 今回の撮影現場は……、

2001142

 すみません、やっぱりココです。当ADL検証の最初の記事を書いた時に訪れた富山県射水市親鸞会館です。壁全体が真っ白で、午後には順行ながら、飛び出た庇の下は影になるというADL検証にはもってこいの被写体なので、また来ちゃいました(スマン……)。残雪もあって、白トビ要素はバッチリだよっ!

 その代わり、アングルは変えたからねっwww!!

 誤差を無くす為に、ADLの適用値を「しない」→「弱め」→「標準」→「強め」を短時間に何度か繰り返し、その平均値を出そうと思いましたが、結局は何度やっても、

  • しない …… 1/400秒
  • 弱め …… 1/400秒
  • 標準 …… 1/400秒
  • 強め …… 1/500秒

 ……でした。ちなみに絞り値はF8ね。

 ただ1回だけ、こちらにとって都合のよい、

  • しない …… 1/250秒
  • 弱め …… 1/250秒
  • 標準 …… 1/320秒
  • 強め …… 1/500秒

 ……という理想的な数値が出たのですが、なんせ1回だけなので残念ながら切り捨てさせていただきました。グスン……。では、「強め」だけシャッタースピードが速くなったように見える、典型的なADLを豪華GIFアニメでご覧あれ!

2001143

 ……という結果となりました。

 ホント、マシンスペック&ネットのトラフィックを使わせてマジごめん。

 これまた、撮影時の配慮不足で「しない」でもアンダー目に撮っちゃって、

 白トビほとんどしてないよ!!

 ……ということで、白トビがノドから手が出るほど欲しいわけですが、

 過ぎ去った日々は二度と戻らない

 ので、今ある実験素材で見ていただけたらと思うよ!

 でもまあ、「しない」→「弱め」に移る段階でハイライト側の山が急にシャドー側にシフトしているのが分かると思います。山の形が1つの台地のような物から、複数の鋭い山に変化しているのが分かります。それだけコントラストが出ているってことでしょうかね?ここら辺は、もともと階調が失われていない部分の再現なので露出でコントロールしたというより、多bitでのカーブ調整で再現していると思われます。

 また、シャドー側は「しない」→「弱め」で、裾野が急に広がってゲインアップが行われているのが分かります。そして、その後「標準」→「強め」と適用度を強めていくに連れてシャドー側の階調が豊かになっていくのが分かります。

 実際に見てみると、「しない」よりも「強め」の方が手前の残雪の階調がシッカリ出ているように思えるし、会館の影になっている部分の階調が回復しているのにも驚く。ハイライトとシャドーの二刀流というのが、それらしく出てきた結果のように思う。

 やっぱり、ADLの真の効果は、撮影段階の露出モードをマニュアルにしないのが良いようですね。マニュアルにすると「ただのD-ライティング」になりかねません。

 また、ADLのハイライト側は撮影時の露出調整で行われる為に、撮影段階の適用度はキッチリ設定した方が、より効果を実感できると思います。RAW撮影でCaptureNXでADL処理をする場合は、撮影段階のADLを「しない」以外にしておく必要があると書きましたが、実際は「弱め」で撮ったものをCaptureNXで「強め」に変更するのと、RAW撮影段階で「強め」で撮るのとでは微妙に結果の違いがでるそうです。これも、撮影段階の露出コントロールが影響しているのではないかと思います。この辺のRAW撮影段階での設定による現像の違いなんかも検証できればと思います。

 まあ、なんせADLはD300のEXPEEDによるソフト的な処理だけではなく、撮影段階のカメラのハード的なコントロールも行っているということが分かっていただければ幸いです。

 ……とここまで来て、べあまんさんの前回の記事に対するコメントが、

楽しみにしていた特集の最終回!拝見させていただきました。
(中略)
今後もD300の購入に頭を悩ませそうです。本当にすばらしい検証をありがとうございました。

  と非常に喜んでくださったようなのですが、元々の研究課題をいま一度見直してみて驚いた。

アクティブD-ライティングを使用するのと、RAWで撮影後CaptureNXでD-ライティングを施すのとではどのように違うのでしょうか?

 ……

 ……えっ?

 あらやだ、CaptureNXで施すのは「アクティブD-ライティング」ではなくって「D-ライティング」だったのね!

 完全なケアレスミスだよっ!!

 ということで、CaptureNXで微妙な調整ができるD-ライティングで施して欲しいという課題でした。いやいや、小学生の頃から問題文はチャンと読みましょうと教えられてきたのですが、まったく思い込みで読んでいましたね……っていうか、ネーミング紛らわしすぎっ!!

 そんなケアレスミスをして、全然答えていないのにべあまんさんったら、「本当にすばらしい検証をありがとうございました」なんて!

 なんて、大人の対応なんやっっ!!

 お猿は、すこぶる感動しました!

 まあ、またD-ライティングで挑戦してみたいと思うのですが、Nikonの「最適化したカーブ」という謎めいたものを施すことは不可能に近いのでアレなんですが、もしD-ライティングでやる場合は、撮影段階で露出をアンダー目にしてRAW撮影すべきですね。これで、ADLの最初の関門は突破したようなものです。

 ま、そんなわけで最終回の最終回を終えたいと思います。

 ではでは。

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コメント

べあまんさんです。

最終回の最終回拝見しました。
勝手に最終回だと思ってしまいすみません。

ところでご報告です。
D300をただいまネットで購入してしまいました。
このブログでの検証が大きな後押しになったこともあり、
ここで紹介されている三星カメラのHPから購入しました。
そのうち我が家にもD300が届くと思います。
色々とデータを提供いただきありがとうございました。

投稿: べあまんさん | 2008年1月16日 (水) 21時13分

べあまんさん、コメントありがとうございます。

そして……、

D300ワールドへようこそ!!

三星カメラさんは、僕御用達でして何かとお世話になっています。何より安くて良いですよね!
それにしても、D300仲間が増えて嬉しいです!
これからも当ブログで色々と検証していきますので、
是非、遊びに来てくださいね!

D300届きましたら、是非とも感動をお知らせください!

投稿: フォトグラファー猿 | 2008年1月16日 (水) 21時56分

……というわけで、

お祝いがてら、べあまんさんのサイトを
当ブログの「デジタルフォトリンク」集に登録させていただきました。

早速アクセスしてみたいと思うよっ!!

投稿: フォトグラファー猿 | 2008年1月17日 (木) 09時56分

検証お疲れ様でした!!

ところで中段の
>誤差を無くす為に、ADLの適用値を「しない」→「弱め」→「標準」→「強め」を短時間に何度か繰り返し、その平均値を出そうと思いましたが、結局は何度やっても・・・
というのは、ISOがAUTO設定で自動で変わっていたりとかしていませんでした?
ふと思いついたので・・・


投稿: flipper | 2008年1月17日 (木) 23時10分

flipperさん、コメントありがとうございます。

> 検証お疲れ様でした!!

ありがとうございます!

ISOオートは僕はちょっと怖くて使っていません。
今回の検証は全部ISO200で固定です。

恐らく全ての被写体で「しない」「弱め」「標準」のスピードが一緒で、「強め」が速めってことはないと思います。
EXPEED様が輝度差に応じて、ハイライトの余裕のないときに速度速めていたりするんじゃないかなぁなどと思っています。
ホラ、今回の被写体はただでさえ白トビのない被写体だし……。露出下げなくてもハイライトの階調は保てそうでしょ?

う~ん、今度はゴリゴリに白トビしたものでやらんといかんかなぁ……と思っています。

あ、flipperさん!最近デジカメネタが御無沙汰していますので、またお願いしますねwww!!(だって、コメントつけられん)

ヨロシクです!

投稿: フォトグラファー猿 | 2008年1月17日 (木) 23時17分

今月のデジタルフォトで似たような事をやってる~
お猿さんの方が先でしたね(^_-)

投稿: ぶん | 2008年1月19日 (土) 23時13分

ぶんさん、コメントありがとうございます。

なにっ!?それは本当ですか?
富山ではまだデジタルフォト出ていません。
デジタルカメラマガジンはゲットしましたが、
ピクチャーコントロールが特集されていたような……。
これは、明日立ち読み……おっと、購入しに行かねば!!

ちなみに僕はデジタルフォト関係者じゃありません……。

ご報告ありがとうございました。 m(_ _)m

投稿: フォトグラファー猿 | 2008年1月19日 (土) 23時32分

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