D300用三脚選び “El Carmagne 635” (2)
お猿@おはようございます。
咳はまだ止まっていませんが、暫く更新が停滞していたブログの更新をしていきたいと思います。
前回は、お猿専用VRレンズとしては2本目となる「AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G(IF)」のレビューを書き始めたのですが、そういえばD300
用に購入したVelbon(ベルボン)のカーボン三脚「El Carmagne 635
」のレビューが約1ヶ月ほど前に書いてから、世界遺産や白鳥の撮影やらで続編が忘れ去られていたので、「D300用三脚選び “El Carmagne 635” (1)」に続いて第2弾をお送りしたいと思います。
第1弾では、キタムラで格安の1万円未満いう価格設定でありながら、そこそこに本格的なSLIKの三脚「PRO 340DX」や、同じVelbonのEl Caemagneシリーズでも人気の「El Carmagne 645
」と比較してみた。特に前者との強度面での比較が多かったのだが、今回は細かい面での比較をやってみたいと思います。
前回も書きましたが、人気の645ではなく635を選んだのは、センターポールを伸ばさずとも身長177cmの僕の目線近くまでファインダーが来て安定性があるということだった。エレベーター不使用というのは安心感が全く異なるために、これくらいの身長の人なら迷わず635を選択してもいいくらいだと思った。また、この三脚は世界遺産・五箇山の菅沼集落の撮影時に本格的なロケ撮影デビューを果たしたのだが、記事中の写真で分かるように撮影ポイント沿いに高めの柵があったりする。この柵の隙間から脚1本を出して使いたいと思うときに、他の皆さんは結構苦戦しておられたが、635は難なく柵をまたぐことができた。「これはイイ!」と思った瞬間だった。
しかし、メリットもあればデメリットもあるわけで、「大きさ」「堅牢性」を優先すれば、必然的に「携帯性」が失われる。携帯性重視で軽量なカーボン三脚を選択するのだが、それでも大きくなればそれなりの重さになってくる。勿論、645が4段ということに対して635が3段ということは、それだけ段が長くなってくるので、縮めた時に大きくなってしまう。その縮めて携帯する時の状態がコレだ。
El Carmagne 635を縮めてレグポシェットに収納するとこうなる
標準でEl Carmagne 635にはレグポシェットが付属してくる。それで脚の先端をまとめて包んで、運べるのだが意外と便利。このレグポシェットをつけて運搬する時はこんな感じだ。
みっともないが、肩掛けでどうなるか、お猿で試してみました。全長が案外長い
仕事帰りでヨレヨレのワイシャツであることは目を瞑ってもらいたい。真冬にクールビズ状態だということも大目に見てもらいたい。この付属の雲台はサイドティルトハンドルを外してパンハンドルにくっつけてスリムにできる。それでも肩からお尻くらいの長さがある。「PRO 340DX」なんかと比べるとかなり大きい。これにカメラバッグも担ぐと結構なかさばりになるのだが、基本的に移動は車なので、これくらいの大きさは許容値。
さて、三脚選びで「“El Carmagne 635”か“El Carmagne 645”か?」という悩みがあったと言ったが、実はその前に「“El Carmagne”か“Neo Carmagne”か?」という悩みがあったのだ。
この両三脚には、どういうわけか雲台が付属してくる(厳密には大型の物は雲台は別売)。カタログには三脚本体と雲台それぞれの価格が書いてあるのだが、実際にはセットでしか売られていないようだ。いずれも3ウェイ式雲台なのだが、El Carmagneの雲台は「PHD-51Q」であり、Neo Carmagneの雲台は「PHD-61」であって異なる。前者は「Q」が付いているだけあって「クイックシュー一体型」である。後者はクイックシュー対応ではない。
左がEl Carmagne 635の雲台“PHD-61”。右がPro 340DXの雲台
僕の撮影スタイルは、同じ撮影現場でも三脚を使ったり手持ちで撮ったりすることがあるので、三脚への脱着はスムーズに行いたい。そうなるとクイックシューは必需品だ。そういう理由もあって、El Carmagneシリーズに軍配が上がったのだ。そういうスタイルは先代のPRO 340DXも同じであって、並べてみても細部は異なるものの基本構造は一緒だ。値段の差か、El Carmagne 635はガッシリしていてハンドルもズングリしている。
ただ、クイックシューがかなり違う。PRO 340DXはカメラとの接触面はコルクシート製だ。
Pro 340DXのクイックシュー。コルクシートが張られているが弾力がなくなってきている
使っていくうちにコルクの弾力がなくなってきて結構滑りやすい。そうなると起きる現象はアレですね。縦位置でのおじぎです。
コルクシートの摩擦だけで支えているので、重いレンズを装着すると次第に“おじぎ”をしてしまう
折角水平をとっても重いレンズを装着すると、重みで前に倒れてしまう。考えてみればネジの1点でしか固定しておらず、それ以外はカメラ底面とクイックシューのコルクシートとの摩擦だけで支えているので仕方がない。しかし、これに対してEl Carmagne 635のクイックシューは、
El Carmagne 635のクイックシュー。ゴムシートで、指先のプラスチックを引くと
ご覧の通り、コルクシート式ではありません。黒いゴムですね。でも、そんなに弾力はありません。その代わり、指で指してある部分にある透明なプラスチックがミソです。
ご覧の通り、縦位置での“おじぎ”を防ぐストッパーが登場します
そのツマミに爪を引っ掛けて持ち上げると写真の通りに立つ。この状態でカメラに装着すると、
このストッパーがカメラの背面に引っかかるようになって
……というように、カメラにうまく引っかかるようになっている。この状態で縦位置にしてみると、
縦位置にしても、“おじぎ”をすることがない
……というように、全くレンズの重さでおじぎをすることがありませんでした。摩擦で耐えるのではなく、爪がひっかかっているので壊さない限りおじぎはしません。縦位置で撮影することの多い僕としては非常に嬉しいことでした。
次にクイックシューを固定するための雲台側のロック機構なんですが、PRO 340DXはご覧の通り、クイックシューを外すとロックがバネでかかってしまいます。その為、再装着する際にはまたロックを回さねばなりません。
Pro 340DXはクイックシューのロックが元に戻ってしまう
ところがEl Carmagne 635の雲台なら、
El Carmagne 635はクイックシューを外しても、ロックは戻らない。お陰で再装着もラクラク
というように、クイックシューを外している間は、ロックのレバーが自動で戻らないように更にロックが付いています。クイックシュー不在時はロックレバーも解除されているので、再度クイックシューを装着する時は、クイックシューをはめて押せば、パチッと気持ちよくはまってくれる。
クイックシューのネジは裏から締めるが、ネジを回すためのツマミが裏に付いている。
クイックシューの裏側を見ました。このツマミは簡単に外すことができます
これを引っ張ると、パチッと外れます。
このように外してネジを回します
これを使ってネジを回します。終わったら再びパチッと嵌めればOKです。
ちなみにハンドル以外のEl Carmagne 635とPRO 340DXの違いを見てみると、
PRO 340DXの場合は雲台の回転ストッパーが平べったいのに対して、El Carmagne 635は、
……というように、丸い構造になっています。これは少しの力でシッカリと固定できるので非常に使い勝手は良いです。エレベーターストッパーもPRO 340DXよりも大型になって使いやすいです。
あと、この雲台には水準器も付いてきます。それも、3つも!横位置では、
こんな感じで左右の水平と前後の水平が取れますし、縦位置でも、
……というように、同じく左右と前後の水平をとることができます。しかし、ちょっと頭をかしげてしまうのが、水準器の精度。雲台の水平を調整して、
……というように水平が取れたと思っても、カメラのアクセサリシューに装着した水準器は、
明らかに水平が取れていなかったりします。実際にちょっと傾いていただけに、折角の水準器を装備していながら実に勿体ない!是非ともこの水準器の精度を上げてもらいたい。
あと、“El Carmagne”か“Neo Carmagne”かを決める大きな判断基準が脚の伸縮のロックをする際に、そのロックの機構ですね。Neo Carmagneは伝統的なナットネジ式ですが、El Carmagneは「エル・ロック機構」を採用されている。ナットネジ式は締め方がゆるいと使っていて脚が縮んでしまったりするが、エル・ロック機構なら「閉める」「解除する」の二者択一なので非常に簡単だ。しかし、運搬時にちょっとだけかさばる。
まあ、これは僕としてはあまり問題にしていません。
あとEl Carmagneシリーズには脚に「脚スケール」がプリントされています。1つの目盛りが5cm感覚で、3本揃って途中で止めたい時などに目安となって便利です。
あと、脚の先端の石突ですが、PRO 340DXは、
……というゴム石突ですが、El Carmagne 635は、
ある時は、ゴム石突であったり、
ある時は、金属製のスパイク石突だったりする「可変石突」で、切り替えはネジ式なので非常に簡単。地面の状態によって簡単に切り替えることが出来ます。今のところ、屋外はスパイク、屋内がゴムという使い分けが基本ですが、それ以外の時もあります。
まあ、そんな感じで何かと細かい心遣いがなされているのがEl Carmagne 635ですが、非常に安定性もよく使い勝手は良いです。エル・ロック機構と3段式ということもあって、伸縮が非常に早いです。これがEl Carmagne 645だと4段式なので、あと3回は伸ばしてロックという作業をしなければならないでしょう。
D300のような重量のあるカメラなら、これくらいの三脚は必須ですね。最初に安売り三脚を買ってしまったのですが、縦位置での“おじぎ”や安定性などを考えると、三脚はケチってはいけないと思い知らされるのでした。
D300の価格も三星カメラでついに¥176,990-と発売当初を思えば格安になってきました。待っていた人たちも、そろそろ買い時かもしれませんね。品薄期間が長いであろうと言われていたD300も在庫が結構確保できているみたいですし……。そうなると、是非とも三脚も見直していただきたいもの。
次回のレビューは、三脚を使えば手ブレは防げるというものの、三脚によって写りはどれ程違うものかということについてレビューしたいと思います。
ではでは。
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コメント
『透明なプラスチックがミソ』って本当に濃厚な味噌ですね。
縦で撮影する際に首が持たれるのでなんとかならないかと
日ごろから思っておりました。トホホ。
以前ヨドバシで相談したら『仕方ない』と言われあきらめていました。
こんなすばらしい『引っかかり』があるなんて!
早速物色に行ってまいります。
貴重な情報ありがとうございました。
投稿: べあまんさん | 2008年2月22日 (金) 19時57分
べあまんさん、コメントありがとうございます!
ええ、この小さなプラスチックは赤味噌並に濃厚です。
実際に使ってみて、ツメのカメラへのフィット感もよろしく、非常に使い勝手が良いです。
最後に、物欲刺激しちゃってスミマセンwww。
投稿: フォトグラファー猿 | 2008年2月24日 (日) 00時03分
ホットシューの水準器の精度は確認しましたか?
雲台の水準機自体はネジをゆるめて微調整で
きないでしょうか?
投稿: 水準器 | 2008年9月 9日 (火) 10時37分
水準器さん、はじめまして!
実はホットシューの水準器の精度も微妙に傾いているようなんですが……それでも、ホッとシュー側の水準器に合わせて撮ったものはそこそこ水平が取れているんですね。しかし、雲台側はちょっと……って感じです。
撮像素子があるカメラ側か、クイックシューをかまして接している三脚に水準器を付ける段階で差がでないはずがないんですけどね。雲台側の水準器は気休め程度に利用しています。
投稿: フォトグラファー猿 | 2008年9月12日 (金) 11時56分