AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G(IF)レビュー(2)
お猿@おはようございます。
前回と前々回は、世界三大カメラショーの1つであるPIE 2008(Photo Imaging Expo 2008)のフォトコンテストネタで浮かれたり沈んだりしておりましたが、当ブログの本来の姿は、
過剰にマニアックな検証ネタ♪
……ですので、検証を続けていきたいと思います。
そこで何の検証ネタかと言いますと、先月後半に行った「AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G(IF)レビュー(1)」の続編を行きたいと思います。まあなんせ、その記事を書いてから、10日近く経過しても続編を書かなかったお猿の怠惰っぷりに、当ブログによく遊びに来てくださるべあまんさんが、
VR 70-300mmのその後の活躍はいかがでしょうか?
この記事を読んでからと言うものこのレンズが気になって仕方ありません。
VR18-200との棲み分けはどのように図ってらっしゃいますか・
かぶる距離が多いので悩んでいます。
ただ200では足りないときなどに、70-300は強力なのでは?と物欲が騒いでおります。
その後の活躍ぶり報告を楽しみにしております。
……と愛のムチを入れてくださいましたので(笑)、嬉しい悲鳴を上げつつも続編を書かせていただいたよ!これも全て……、
べあまんさんの物欲のために……
そんなワケで、べあまんさんにレンズ沼にハマっていただく為に、Nikonの大人気VR付き望遠レンズ「AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G(IF)」の描写比較検証を捧げたいと思います!
まあ、このレンズは地味ながらもDXフォーマットのみならずFXフォーマットでも使えるということもあり、また、「会いに行けるアイドル AKB48」ではありませんが、「手の届く望遠レンズ」ということで、プロでもレンズセットに組み込んでいるくらいの人気レンズですので是非ともその描写に着眼したいと思います。
そこで、当レンズの70mm~300mmという焦点域にかぶるお猿所有のレンズと言えば、
……の2本です。
左からSIGMA 70mmマクロ、NIkon VR 18-200mm、Nikon VR 70-300mm
SIGMAはカリカリシャープのカミソリマクロなんですが、接写に於いては抜群の解像力とシャープさで魅了してくれましたが、対照的な望遠レンズとの勝負ではどうなるか?一応、単焦点レンズですので興味アリです。
NikonのVR 18-200mmは悪魔のレンズの異名を持ち、高倍率ズームで非常に便利ながらD300との相性は非常に良く描写も驚くべきものがある。お猿的にも常用レンズとして風景撮りからスナップ撮りまで出番が多い。
この2本のレンズとの比較を行って行きたい。それぞれのレンズの開放F値と、F8まで絞った描写を中心付近と隅っこを拡大して比較してみた。まずは、VR 70-300mmのワイド端の70mm勝負から行ってみたい。ここだけは、SIGMAの70mmマクロとも勝負ができるので三つ巴の勝負となった。ちなみに使用のカメラは最近になってかなり安くなってきた感のある「Nikon D300」。
●70mm勝負
この70mmに限らず、撮影場所は射水市の某ビル屋上から高岡市の二上山方面を撮ってみた。昼休みに昼食をダッシュで食べて屋上に駆け上がり、富山ならではの寒く強烈なビル風に吹かれながらやってみた。多少の誤差はカンベンしてくださいね。
70mmともなれば、DXフォーマット機では中望遠といったところであろうか?では、まず中心勝負!中央やや右の煙付近を切り取ってみた。
○SIGMA「MACRO 70mm F2.8 EX DG」(中心付近)
開放F2.8
F8
○Nikon「AF-S DX VR Zoom-Nikkor ED 18-200mm F3.5-5.6G (IF)」(中心付近)
開放F4.9
F8
○Nikon「AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G(IF)」(中心付近)
開放F4.4
F8
……と中心付近勝負をやってみたが、やっぱりVR 18-200mmはD300の恩恵でいくら解像力が増したと言っても高倍率ズームという足かせがあってか描写に関してはちょっと劣った。特にF8に絞っても他の2本と比べて差が大きく出たように思う。それでもSIGMAでは消え気味の電線を描写しているのは面白い。
SIGMA 70mmとVR 70-300mmの一騎討ちとなると開放側でも気持ちのいい描写だったのがVR 70-300mmだった。まあ、F2.8とF4.4の比較なので仕方がないが……。肝心のF8勝負に持っていくと、これがなかなか良い勝負。ほんの僅かだがVR 70-300mmの方が建物の窓といい鉄塔の骨組みをキッチリ写しているように思う。いずれにせよ、ズームレンズながら開放から素晴らしい描写だと脱帽する。
では次は、周辺に行ってみたい。左下の「ダイソー」の看板付近だ。
○SIGMA「MACRO 70mm F2.8 EX DG」(左下付近)
開放F2.8
F8
○Nikon「AF-S DX VR Zoom-Nikkor ED 18-200mm F3.5-5.6G (IF)」(左下付近)
開放F4.9
F8
○Nikon「AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G(IF)」(左下付近)
開放F4.4
F8
……と周囲であっても共通して倍率色収差が目立たない。これはD300のEXPEEDの優秀さによると感謝している。D80でこの検証をやってみたら少なくともVR 18-200mmでは輪郭に虹が出ていたでしょうね。
ここでもVR 18-200mmは他の2本よりもやっぱり劣る。あくまで、これらのレンズと比較してという話なので、これで撮ったものだけを見れば実に美しい写真となっているので、決して悪いレンズではない。D300のレンズキットの中でも唯一「買い」と思うくらいだし、今後も常用レンズとして活躍してもらおうと思っている。しかし、70mm以下で使うことはなくテレ側で使う仕事が多いときは、迷うことなくVR 70-300mmをオススメしたい。
それにしても、SIGMAの70mmと比較しても「中心部分ですよ」と言われても分からないくらいの描写だ。実にシャープに写し出されているし、F8まで絞ればニジミも目立たない。SIGMAの70mmと比較してコントラストの強めのようだ。実にお猿好み♪開放側ではF値が異なるので何とも言えないが、VR 70-300mmは開放からでも十分に使える解像力を持っていると思う。
では次は、悪魔のレンズのテレ端200mmでの勝負と行ってみよう!
●200mm勝負
VR 70-300mmを購入するまでのレンズセットでは最大望遠であった200mmでの勝負だ。単焦点であるSIGMA 70mmはここでは対象外。VR 70-300mmは、ここから更にテレ側に100mm余裕があるわけだが、この辺では一体どんな描写を見せてくれるのだろうか?200mmまで寄るとダイソーは見えなくなり、宅急便の看板がクローズアップされる。
中央勝負では、中央やや左の鉄塔と鉄筋コンクリート造の建物を拡大してみた。
○Nikon「AF-S DX VR Zoom-Nikkor ED 18-200mm F3.5-5.6G (IF)」(中心付近)
開放F5.7
F8
○Nikon「AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G(IF)」(中心付近)
開放F5.3
F8
……といったところだ。開放側もF8側もその差は歴然!VR 70-300mm側はコントラスト強めの描写なのかもしれないが、それにしても開放側だって十分に使えるくらいのシャープさを見せてくれた。F8に絞れば鉄塔の骨組みがよ~っく分かる。VR 18-200mmのF8とVR 70-300mmの開放F値と比較してもVR 70-300mmの方が良く見えるくらいだ。
では、次は周辺代表として左下のパワーローダー(除雪車)をアップしてみた。
○Nikon「AF-S DX VR Zoom-Nikkor ED 18-200mm F3.5-5.6G (IF)」(左下付近)
開放F5.7
F8
○Nikon「AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G(IF)」(左下付近)
開放F5.3
F8
周辺にしてこの描写は素晴らしい!VR 70-300mmのF8における解像力も見事。収差も目立たないし、手前の金網の目をも写すかどうかというような写りだ。パワーローダーのエッジもクッキリしている。VR 18-200mmのF8と比べても70-300mmの開放F値の描写は素晴らしい。
では最後に、VR 70-300mmの独壇場!テレ端の300mmを独演していただきましょう!
●300mm独演
レンズ増強の優先順位として明るい大口径レンズを選ぶか、焦点距離を充実させていく方を選ぶかと悩んだこともあったが、300mmの焦点域を手に入れる意義は非常に大きかった。300mmとも言えばこれだけ寄れる。
200mmではモヤモヤしていた家々がスッキリ見えている。圧縮効果もかなりのものだ。ただ、これだけ寄って果たしてどんな描写を見せてくれるのだろうか?
まずは、中央部分。殆どド真ん中を狙ってみた。
開放F5.7
開放F8
鉄塔の骨組み、看板の文字も読めそうなくらいに写しだしている。電線もF8まで絞れば1本1本がクッキリしている。
それでは、周辺部分。右下の民家付近を拡大してみた。
開放F5.7
開放F8
やっぱりすごい。黄色と黒のシマシマも、サッシの様子もしっかりしている。瓦の凹凸もそこそこに写しだしている。
……とまあ、VR 70-300mmのズーム全域で「これでもかっ!」という程の描写を見せてくれる。そして、絞り開放でも使える描写だ。サンニッパなんかと比べれば暗いレンズなのだが、開放であれだけの描写だし、また何よりもVR 18-200mmよりも強力と言われるVRの威力で口径の暗さはかなりカバーできる。何よりもコストパフォーマンスということを考えれば優秀すぎる。
実際に、手持ちでもかなり気持ちの良い写真が撮れる。
またまた、富山県の誇るオオハクチョウの飛来地「田尻池」にてVR 70-300mmを試験してみました。射水市の「石畑池」のオオハクチョウは既にシベリアへの帰路についてしまってスッカラカンでカモしかいませんでしたが、こちらはまだいました!
焦点距離:195mm 絞り:F5.6
水面に波紋を起こしながら歩くオオハクチョウ。VR 18-200mmでも行ける焦点距離だが、こういう撮影の時は70mmスタートのVR 70-300mmの方が描写もイイし、急に寄ることも出来るので便利だ。ちなみに手持ち撮影です。
焦点距離:270mm 絞り:F7.1
首をS字にくねらせるオオハクチョウ。270mmとかなりテレ端に近づいている。この写真では分かりにくいが羽に付いて弾いている水滴も、羽のスジもクッキリと写しだしている。見事としか言いようがない。大口径レンズではないので大きなボケは望めないものの、F7.1にてこれだけのボケがあるので、コストを考えれば上等!
焦点距離:300mm 絞り:F7.1
「なんだよ!」とこっちを見るオオハクチョウ。テレ端いっぱいです。実はクチバシのシワまでシャープに写っているのです!背景の寄り具合も中々ですね。そこそこのボケもグッドです。
焦点距離:300mm 絞り:F8
あまり注目してもらえないカモも必死に面白いことしてアピールしていました。別のカモの口に口を突っ込んで「開いた口が塞がらない」状態にしている意地悪なカモ(右)。これもテレ端いっぱいです。それにしても200mmまでしかないレンズだとこうはいかないので、VR 70-300mmは非常に嬉しいレンズだ。
……とまあ、VR 70-300mmの素晴らしさを知っていただけたかと思います。VR 18-200mmの“便利さ”と、その割には“描写の良さ”に隠れてしまって目立たないレンズですが、間違いなく大人気のレンズだ。やっぱり、魅力的な焦点距離と他を圧倒する描写、そして、強力なレンズ内手ブレ補正のVRを引っさげていることだ。
言うまでもなくD40とかD60といったエントリー機種でも使えるレンズだしDXフォーマットの望遠の強さから、子供さんの運動会やら劇など、かなりクローズアップして表情までシッカリ写してくれると思う。子供撮りには必須のレンズかもしれない。
DXフォーマットと言えばフラッグシップのD300ですが、三星カメラ調査では既に169,800円と“まさか”の17万円を切ってしまった。発表当時は23万円とも言われたD300なのにここまで来てしまいました。在庫も落ち着いてきているようですので、そろそろ“買い”かもしれませんね。
まあ、そんなワケで間が開きまくったVR 70-300mm検証ですが、この辺でお開きにしたいと思います。検証の間中、風に吹かれていたのですが、スギ花粉も豊富だったようでかなり花粉症の症状が出ています。べあまんさん、どれほど物欲を刺激できたか分かりませんが、これで御満足いただけたでしょうか?(お財布大丈夫ですかぁ~www?)
ではでは。
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この記事へのコメントは終了しました。
コメント
レビューお疲れ様です。
ジャンルこそ違え、「過剰にマニアックな検証ネタ♪」は私も・・・(以下ry
70-300mm、余裕があれば欲しいところですが、70-200mmに*1.7テレコンで
しばらくは誤魔化すしかなさそうです(資金繰的に)。
今夏までに24-70mmへと考えていたのですが、なんとなく考えが変わって、
35/F2と50/F1.4、60Microあたりにしようかしら・・・と心が揺れてきています。
17-50mmF2.8(TamronA16)が”標準ズーム”で持っているからという理由なんですけど。
仮称D90を来春に・・・と思って、資金を残しておきたいハラもあったり。
はてさて、どうしたもんですかね・・・
投稿: flipper | 2008年3月11日 (火) 10時53分
flipperさん、コメントありがとうございます!
やっぱりレンズレビューネタには飛びついてくださいましたね!
自分もVR 70-200mmがあれば、1.7テレコンでいいと思っています。むしろ、1.4テレコンでもいいかなっていうくらいです。いや、それでいいんじゃないっすか?VR 70-200mmが欲しいお猿としては羨ましい悩みですよ!!これは“誤魔化し”じゃありません!“正統派”と思います。
自分もナノクリの魅力と抜群の描写力で今年中には24-70mm F2.8をって思っているんですが、資金面と在庫のなさに不可能なプランと思えて来ました。大三元は揃えたいですよね。VR 70-200mmを先行させるべきか、24-70mmを先行させるべきかで悩んでいます。
建物撮影やらブツ撮りの多いお猿としては、アオリレンズも魅力的。でも、それよりも24-70mmはもっと魅力的。ああ、あかん。
D90ですかぁ〜?D300もかなり安くなって来たから、ちょっと頑張ってどうですかね?
投稿: フォトグラファー猿 | 2008年3月11日 (火) 11時04分
まるで雑誌の特集を見ているような検証ありがとうございます。(涙)
むしろスポンサーがバックにいない分、雑誌以上の信頼をよせとります。 スリスリ(笑)
VR 18-200mmで不満を感じたことがない自分ですが、
70-300mmってやっぱりすごいんですね。
●200mm勝負は圧巻ですね。
ううううっ。欲しい。勢いで買ってしまいそう。
実際、このブログの影響でD300を買ってしまった犯歴も。。。
それにしても、70-200mmに*1.7テレコンって素敵ですね。
夢のまた夢ですが。
70-200ってどんな世界なんでしょうね?
70-300の世界をしらないべあまんにとっては、
空想するしかありません。
投稿: べあまんさん | 2008年3月12日 (水) 00時05分
べあまんさん、コメントありがとうございます!
……っていうか、メッチャ正客が登場って感じですね。
お待ちしておりました。
バックにスポンサーはいませんが、
ゴリゴリのニコン信者ですwww。
VR 18-200mmとD80の組み合わせでは「う〜ん……」という画質だったんですが、D300との組み合わせは抜群!やっぱEXPEEDはいいわ、と思ったものでした。一眼レフを買うならレンズキットは買うべきではないという曲がった持論がありますが、このレンズのキットはイイと思っています。
ただ、テレ端になると「餅は餅屋」と言いましょうか、専門業者であるVR 70-300mmにどうしても軍配が上がってしまいます。VR 18-200mmに隠れていますが、堂々とした人気レンズです。それだけに200mmから300mmの焦点距離も魅力的ですし、描写もホントに素晴らしいですよね。
案の定、お猿の術中にハマりつつあるようですが、楽になる方法をお教えしましょう……。
どうぞ、ポチッってくださいwww。
サンニッパには及びませんが、コストパフォーマンスは良いです。VR付きで手持ちで安心して望遠撮影ができるのは素晴らしいです。撮影の幅が一気に広がりました。
VR 70-200mm……欲しいですね。特に炎天下で使うことが多いので希少なライトグレーが欲しいっす。その点、flipperさんが羨ましい……。
まあ、そんなワケで逝っちゃいますか?
投稿: フォトグラファー猿 | 2008年3月12日 (水) 09時42分