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VANGUARDの自由雲台「SBH-100」レビュー

 お猿@おはようございます。

 前回の記事PIE2008以来、お猿の周りのカメラ環境が激変(……でもないか)していることを書きましたが、他にも色々とありまして、職場近くの某家電量販店のY電機なんぞに行くと、すっかりお友達になったK氏に話せば余程の小物でもない限り割引きしてくれるし、同じく最寄の某カメラ専門店のKムラに行くと店長がレジをすれば「あ、お猿さんですね。じゃあ、10%引いておきます」と何も言わなくても割り引いてくれるようになりました。

 今やお猿は“歩くクーポン券”です。

 まあ、この辺はPIE2008以前からの人脈になっちゃっているんですが、それでもmixiの「友達以上、マイミク未満」「マイミク以上、友達未満」に代表される微妙な人間関係並のステキな人間関係を築いています。すっかり、家電製品&デジモノに関しては独特の流通経路を築きつつありますが、そんな微妙な皆さんが大好きです。

 そういうワケで、PIE2008ですっかり微妙な人間関係を築いてくださったVANGUARDのA営業部次長さんから、発売前と思しきボールヘッド自由雲台が3種類も送られてきてしまったというのは、前回お知らせした通り。このメーカーの三脚も上陸したばかりと言うこともあって、あまり日本では見かけないのですが、本日、Y電機に行ったところ山積みしてありましたので、今後が楽しみです。それにしても、モニターということで3つも頂いちゃってA次長さん、大好きです!!

 ちなみにVANGUARDさんは本社は台湾。工場は中国という組み合わせですが、アメリカやヨーロッパにも販売拠点を持っているメーカーさんです。「Made in China」と言えば最近は何かと話題が豊富ですが、よ~っく見てみると「世界の工場」と言われるだけあって我々の周囲にはかなり中国製のものが氾濫しています。

 お猿の愛するNikonにして然り。勝負レンズとして使っている愛用の「Ai AF Nikkor 50mm F1.4D」なんかはバンバンの中国製。でも、使っていて全く問題ないどころか、現在所有のレンズの中ではピカイチの描写を誇っています。つまり、管理さえシッカリすれば中国だっていいんです。

 さて、そんなVANGUARD製自由雲台の中でも最も35mmカメラで使いやすそうな「SBH-100」をレビューしたいと思います。これは「SBH-100」「SBH-200」「SBH-300」の3種類があった中の最小モデル。そのうち、更に小さな「SBH-50」が出るとPIE2008にて聞きましたが、現状ではこれが最小です。

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舶来物らしく、どことなく郡司師匠をして“バター臭い”と言わしめそうなパッケージ

 小さな自由雲台で、この丁寧な梱包。箱の中には緩衝材としてスポンジが入っています。非常に丁寧で、雲台の他に大きめのネジのクイックシューと日本語の取扱説明書が同梱されています。

 それにしても、パッケージデザインがいかにも舶来モノっぽいですね。お猿がDTPの師匠と仰ぐ郡司先生をして「バター臭いカラー」と言わしめるアメリカンテイストなパッケージです。個人的にはもうちょっとシンプルデザインが好きなんですが……。PIE2008のブースで配っていた蛍光オレンジとブラックの2色だけのシンプルデザインだといいんだけどなぁとも思った。

 さて、例の2つあるクイックシューは、こんな感じ。

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非常にコンパクトなVANGUARDのクイックシュー。2種類付属してきます

 ネジの大きさが異なります。「1/4-20UNC」「3/8-16UNC」の2種類があります。通常のデジタル一眼レフなら右の「1/4-20UNC」で十分です。ちなみにクイックシューの面はゴムシートです。

 これを裏から見ると。

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裏から見ると、ネジのミゾの形状以外は変わりがない

 ……という感じ。見かけは殆ど変わりません。10円玉などを使ってネジを回すタイプです。この撮影の時にスッカリ小銭を使い果たしていたお猿は非常に困りました。これを使うときは10円玉は必須のようです。

 このクイックシューを装着するベース部分はこんな感じです。

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クイックシューベースも実にコンパクト。ロックもボタン1つなのでスリムです

 中央の黒い部分は六角レンチを使うことでクイックシューベースを取り外し、他社のベースを装着することも可能。クイックシューが気に入らない場合は、更にここもカスタマイズできるということです。

 あと、指先のオレンジのボタンを押すと、ベースの中の小さな白い円が引っ込んでクイックシューを固定していたロックが外れるという寸法。ありがちなレバー式ではありません。ただ、このロックではシッカリとクイックシューが固定されません。

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クイックシューを固定するのは、最終的にはネジで行う

 ご覧のように、ベースの横についているツマミを締めることでガッシリと固定することができるのです。お猿が現在使っている3ウェイ雲台がレバー式なので、それに慣れてしまっているのですが、これも慣れれば使いやすいかもしれませんね。ただ、今のところは2ステップ踏まないとロックが外れないので、やや面倒な感じがする。装着する時は、ロックボタンを押さなくても装着できるので、ツマミだけを締めればいいのですが……。

 さて、雲台だけでは使い物にならないので、そろそろ三脚に取り付けてみましょう。雲台の底はこうなっています。

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三脚への固定ネジは2つのサイズに対応している

 中央にUNC1/4対応のネジ穴があいていますが、コインでも差し込んで回せば、中央のネジ穴が取れて3/8UNCに対応となります。そういうことで、リャンメンな雲台ですね。

 では、この雲台は、お猿愛用の「EL Carmagne 635」に取り付けてみたいと思います。この三脚には標準で3ウェイ雲台の「PHD-61Q」が取り付けられています。

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毎度おなじみのEL Carmagne635用の3ウェイ雲台「PHD-61Q」

 まずは、こいつを外さないといけないのですが、元々こんなカスタマイズするつもりはなかったので、外し方が分かりません。さて、どうしたらいいのでしょう?

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PHD-61Qが気に入って購入した三脚なので、全く読まなかった項目がコレ

 あ、三脚の取扱説明書にありますね。

雲台を交換するには、雲台の全てのストッパーやハンドルをしっかりしめ、雲台全体を反時計方向に回すと外れます。三脚側の雲台取付けネジは、回して外し反転させるとサイズが変わります。交換する雲台の取付けネジ穴の径に合わせてご使用ください。

 ……ということです。つまりは、

 “力任せ”ということですね。

 権力、財力といった力は持ち合わせていない不甲斐ないお猿ですが、この辺の力はかろうじて持ち合わせている模様ですので頑張ってみたいと思います。

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全てのネジを固く締めてから雲台を反時計回りに回すとあっさりと外れた

 あ、外れましたね。さて、Velbon「PHD-61Q」とVANGUARD「SBH-100」を比較してみるとこんな感じです。

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こうやってみると、自由雲台はガッシリしているようにも見える

 やっぱり3ウェイ雲台は場所を取りますね。確かに、ハンドルを外して運んでも3ウェイはかさばります。自由雲台はどことなくガッシリしているように見えますし、何よりもハンドルがない分、コンパクトです。

 では、EL Carmagne 635にSBH-100を取り付けてみましょう。

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恐ろしいほどEL CarmagneにフィットしているVANGUARDの自由雲台

 あ、なんかシックリ来ていますね。裾が広がり気味かと思いましたが、EL Carmagneそのものがガッシリしているので、ちょうど良い大きさになっています。色もブラック&ブラックなのでピッタリです。

 でも、問題は使い勝手です。まずは、クイックシューを愛機の「Nikon D300」に装着してみましょう。

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コンパクトなクイックシューなのでD300の底面にも収まりが良い

 ほぼ正方形のコンパクトなクイックシューなので、綺麗に収まっている感じです。ちなみに小銭が全くなくて困りました。こういう時は紙幣は、無力です。

 では、こいつを三脚に取り付けてみましょう!

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ハッタリかました望遠レンズっぽく見えますが、大口径の標準レンズです

 超望遠レンズを付けている様に見えますが、前回もチラッとお見せしたナノクリ大口径レンズのAF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G EDです。

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D300クラスでも小型のSBH-100で十分固定できます。安定感抜群!

 後ろから見ると落ち着いて見えますね。

 実際に使ってみて、少々大きめの雲台なので安定感はありますね。

 ……で、折角ついている雲台の水準器というかレベラーなんですが、Velbonのそれは精度がイマイチでしたが、VANGUARDはどうでしょう?まずは、雲台側の水準器を水平に合わせた場合……。

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雲台側のレベラーで水平をとると、カメラ側が傾き……

 上の写真はD300のアクセサリシューに取り付けたレベラーなんですが、若干左下がりでしょうか?左右のラインは超えていないものの惜しい感じです。

 では、D300側を水平にした場合はどうなるでしょう?

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カメラ側のレベラーで水平をとると、雲台側が傾く

 う~ん、雲台は左下がりという結果になっています。

 PIE2008ブースでA次長にも言ったんですが、折角レベラーを付けるのなら精度をピッタリにしてもらいたいということ。下手に付けるとそれを信用して使ってしまう人が出てしまいますよね。それならない方がいい。他社の雲台付属のレベラーもイマイチなので是非ともここは改善してもらいたい。個人的にはVelbonブースにて参考出品されていたデジタルレベラーが雲台についたら面白いのでは?と思った。

 あと、3ウェイに慣れてしまっているためか、ネジが1つしかない自由雲台は左右方向の水平を合わせてから前後方向の水平を合わせようとすると左右を固定しているわけではないので左右がまた狂ってくるという歯痒い思いをします。この辺は自由雲台そのものに対する慣れなのでVANGUARDさんの非ではないですね。失礼しました。

 では、この雲台に装着したカメラを縦位置で使用するとどうなるだろうか?

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縦位置も案外ガッシリと固定してくれた、が……

 グリップが上に来るようにするとこうなる。ボール固定用のネジが手前に来るようになる。何だかんだと安定感は素晴らしい。ネジの締め具合によって油圧の関係なのかボールが滑らかに動くので、3ウェイ雲台に慣れ親しんだお猿でも微調整はしやすいと思った。

 だが、問題は縦位置での「おじぎ」だ。基本的に多くのメーカーの雲台の悩みが「おじぎ」だ。クイックシューが摩擦式なので重いレンズを装着すると摩擦で支えきれずに前に倒れてしまうのだ。

 これをこちらの記事で紹介したように、Velbonの3ウェイ雲台ではクリアしていた。Velbonのクイックシューの場合は摩擦式ではなく回転防止のリトラクタブル式背当てと称する2つのツメをひっかけることで対処していたのだ。実際にこの効果は大きい。では、摩擦式のVANGUARDのクイックシューはどうか?

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所詮、ネジと摩擦だけで固定しているので重いレンズに負けて“おじぎ”だ

 基本的にはクイックシューの摩擦で支えきれましたが、ちょっと力を加えると「おじぎ」をしてしまった。恐らく、小型のクイックシューをしようしているので尚さら倒れ易いのだと思う。この辺は是非ともクリアしてもらいたい。もしくは、クイックシューベースとクイックシューをVelbon製にカスタマイズするか……。

 あと、ご覧の通り、縦位置にしたときのレベラーがない。これもまた3ウェイのように取り付ける場所がないのかもしれないが、先ほども言ったようにVelbonのデジタル水準器が付けば縦位置になったら自動的に縦位置での水平を計るように切り替わるので、是非ともデジタル水準器に登場してもらいたい。まあ、デジタル水準器は気泡式に比べると狂いが生じても分からないという難点もあるのだが……。

 とまあ、EL Carmagne 635に装着した感じはこんな感じだが、お猿の初代三脚であるキタムラ御用達の格安三脚「PRO 340DX」に装着してみたらどうなるか?

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実にエコノミーな格安三脚のクイックシューはガタガタだ……

 これも先ほどと同じ要領で雲台が外れた。

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この雲台こそ安定感が悪くて、イイトコ無し

 EL Carmagneに比べるとかなり小さい雲台だということが分かる。

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貧弱な三脚なのに、この自由雲台が妙にフィットしていると思いません?

 そして、実際にSBH-100を三脚に取り付けてみると、やや大き目か……。それでも許容値だと思う。

 実際のところ、EL Carmagneに乗り換えてからは、この三脚は出番がないわけではなく、ワイヤレスライティングの際のストロボ設置の場として活躍している。これこそ、水平が要求されることなく、クリクリと直感的に向きを変えられると便利なので自由雲台が重宝だ。しかも、クイックシューが大きすぎないので非常に扱い易い。

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ストロボをこのようにして使うお猿としては、3ウェイよりも自由雲台が実に使いやすかったのだ

 ひとまず、3ウェイに慣れてしまっているお猿ですが、Velbonの雲台はちょっと緩めたらカックンカックンに緩んでしまうので微調整がしにくい。

 それなので、その辺はVANGUARDのような粘りがあるといいのだが、3ウェイの良いところはハンドルを用いることが角度を変えやすいということだ。水平と前後で分けて操作が出来るのが3ウェイの良いところ。自由だとネジは1つしかないので水平を決めて固定して……というのができない。この辺は今後の勉強だと思った。

 まあ、暫くはストロボ用に活用しようと思うが「SBH-200」レベルでD300を使うと結構いいかも……と思っているので、その辺もいずれレビューしたいと思う。

 ではでは。

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コメント

私もPIE会場で、知名度はまだなのですが、VANGURD社の三脚の品質はどうかと興味を持って見てみてきました。その品質は知名度のある先発メーカーに比して劣らないと思います。

私もVANGURD社には注目していましたがまさか、お猿さんが、モニターに成られていたとは恐れいりました。(ハハーッ)

私はスリック社の大型三脚ザプロフェッショナルという6Kg位の物を使っています。それは、レンズとカメラの重量より重い三脚で無いと、つまり上に載っかっている重量を、重い脚が受け止めることが三脚の安定性になっていると思うからです。

今回の記事は自由雲代のオジギを問題点として取り上げられますが、クイックシューの爪なしタイプだと、当然オジギしてしまいますね。それに一番小型タイプの雲台だから、24-70mmレンズとD300の重量は、もしかしたら辛いのかもしれませんね。

確かに、カメラの裏ゴムと雲台のネジだけでカメラを固定するのは、重力から考えて無理な気持ちが有りますよね。

◎これからのレビューで、雲台大きさが、段々大きく成って来ると、何か違いが現れてくるのかも知れませんね?

◎あと確かに、雲台のパッケージは、オレンジと黒の箱の方が先発メーカーに挑戦する会社のイメージに合っていると思いますね。

では また、また

投稿: cameraman_hide | 2008年4月14日 (月) 21時22分

クイックシュー、個人的にはネジをコインで回すというのは好きではないです。
理想はベルボンのPHD-61Qのように、裏面にネジ回しがセットされているほうが安心なんです。
じゃないとネジを舐めてしまいそうなので・・・(汗
(このあたり、お互いエルカル6*5ユーザーなので話は通じていただけそうな気もしますが・・・↑の説明で通じましたかね?)

それにしても・・・ベルボンの水準器って水平がでていないんですか?
ヤバイ。信じきっていましたorz

投稿: flipper | 2008年4月14日 (月) 21時23分

○cameraman_hideさん、コメントありがとうございます。

いやぁ~、VANGUARDさんに着目されるとはお目が高い!
恐らく「Made in China」っていう先入観で、あまり注目されていないだけかも知れませんね。でも、食わず嫌いはアレですので、PIE2008にていじってしまいました。いやいや、西洋の老舗に負けない品質ですよ!

まあ、確かにVelbonのクイックシューのツメがアイデアモノなんでしょうね。恐らく、舶来モノのほかのクイックシューでもオジギはしますよね。

ブースでは、「SBH-100でいいんじゃない?」と言われましたが、実際には「SBH-200」がピッタリかもしれません。重量級のレンズになればなるほどそうでしょうね。まあ、クイックシューは同じなので「SBH-300」にならないとオジギ問題は変化がないと思います。それにしても、縦位置問題はもうちょっと三脚メーカーはウェイトを置いて欲しい!

パッケージ案に同意くださり、ありがとうございました!


○flipperさん、コメントありがとうございます。

cameraman_hideさんと1分差のカキコって……すごい。
クイックシューのコイン回しはお猿もイヤですねぇ。実に歯痒いです。Velbonのクイックシュー分かりますよ!
ただ、あれもねじ回しが外れてしまうのがチョット怖い。クイックシューを付けたまま手持ち撮影に切り替えたりする時に、知らぬ間に外れて落ちないか……と心配になっています。まあ、それなのでポケットに入れているんですけどね。クイックシューに限って言えば使い勝手はVelbonは秀逸かと思います。

Velbonの水準器が狂っているのか、アクセサリシューの水準器が狂っているのか分かりませんが、恐らくVelbonが狂っているんでしょうね。PIE2008でVelbonでもVANGUARDでも水準器の精度……という話になると皆さんモゴモゴしていましたので……。ここで是非とも差を付けて欲しいものです。

ではでは。

投稿: フォトグラファー猿 | 2008年4月14日 (月) 21時40分

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