“スカイフェスとなみ”で熱気球を撮る(2)
お猿@おはようございます。
以前にも申したことがありましたが、お猿はDTPオペレーター出身のフォトグラファーなんですが、DTP業務の中では主に画像処理がメインだったりするわけです。5年ほど前は、画像処理と言っても今ほどデジカメの性能は良くなく、35mmポジなんかにお世話になっていたわけで、もっぱらスキャナオペレーターという方が正確だったんですね。
……で、ポジ原稿などの透過原稿やら反射原稿なんかを取り込むのに使うのがスキャナなんですが、お猿が今も使っている愛用スキャナがコレ。
かつては写真原稿と言えばGenascan5000でスキャンだった
多分、一般の人は見たことがないんでしょうけど、SCREEN製の業務用フラットベッドスキャナ「Genascan 5000」というもの。形状からして通称「ワニ」と言われています。非常に巨大で、A3ノビくらいの原稿もスキャンできるというものです。ただし、コンシューマ向けのフラットベッド式スキャナがセンサーのみが駆動するのに対し、これはセンサーだけでなく、原稿台までもが駆動するというもの。ちょっと厚みのある原稿に弱いのが玉にキズです。
それでも、非常に優秀なスキャナなんですが、最近は写真原稿の99%がデジカメデータっていうくらいになって、このスキャナの出番はマンガの原画スキャンとか、水彩画なんかのカットのスキャンっていうくらい。しかし、こういったジャンルもマンガのデジコミ化、水彩画もPainterなんていうソフトの登場でMacintosh上でできてしまったりするので、ますます出番が減ってくるスキャナです。
ところが最近、古~い写真だらけのグラフを作る仕事が来まして、モノクロやセピアな写真やら退色したカラー写真などを大量にスキャニングすることになりました。紙焼きの原稿やら35mmポジなどワサワサとやっております。
……でやっていて感じたのが、最近のデジカメはAPS-Cだって当時の35mmフィルムの解像感に勝るということ。そして、レンズ描写の優秀さ。極めつけは、撮影したら既にデジタルデータとして完成しているということだ。
35mmフィルムのスキャニングは非常に面倒臭い。マウントを外して埃や手垢をシリンダークロスやらフィルムクリーナで拭きとって、最後にブロワーで吹き飛ばしつつセットしていく。ドラムスキャナならシリンダーワークという作業なのだが、僅かなホコリでも35mmポジだと非常に大きく感じる。デジカメなら撮像素子に付着したゴミみたいなもんだ。こんなこと、全写真原稿に対して行うんだから大変だ。改めて……、
デジカメ万歳!!
デジカメの恩恵に感謝しつつ、いよいよ本題に行こうと思う。
前回の記事で、「スカイフェスとなみ バルーン大会」の初日と2日目の撮影レポートをさせていただいた。いずれにしてもバルーンの撮影は今回が初めて。ある意味、ロケハンの気分でやっていたのだが、最終日の3日目こそ本番……と思っていたのだが、少々出発が遅れまして、到着した頃には……、
既にかなりの気球が飛び立つギリギリのラインで止まっていた
かなりの気球が完成していました。
お猿は夜行性だから連日5時台起きはキツイのだよ。
……と自分を納得させつつ2日間のロケハンで慣れた中村グラウンド内を闊歩する。
かなりみっしりと間を詰めて膨らんでいるバルーンたち
続々とバルーン内に熱風が送られている。それにしても、バルーン間の間隔が結構狭い。まあ、ぶつかったところでフワフワの風船みたいなもんなので、「ナニぶつかってんだ、ゴルァーッ!」ってことにはならない。こんな感じにみっしりと並んだバルーンって、派手な巨大ネズミって感じです。
さて、いよいよ離陸です。
前日よりはまとまって離陸し、さらに、上空で滞っているバルーンが多かったのが最終日の特徴でした。今回は、富山の散居村での開催らしく地上も入れて撮ってみました。バルーンだけ撮ってもいいんですが、富山らしさってのも出したかったし、地表を入れることで「大地と空」を表現できていいんじゃないかと思ったのだ。やっぱり、気球は雄大な大地と広い空があってこそだと思うんですよね!!
勿論、空のバルーンだけってのも抑えておきました。
どうです?ほぼ同じバルーンが写っていると思いますが、印象が全く違いますよね。それぞれに良いところがあると思います。それにしても鮮やかだ。
あ、そうそう。今回は前の2日間と最終日ではメインレンズを変えています。
最初の2日間は、ナノクリレンズの「AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED」のみを使用。特に初日のナイトフェスに関しては夜間撮影ということもあってF2.8の大口径ってのは非常に助かった。しかし、イマイチ寄れないということと、DXフォーマットでは広角も中途半端ということで、最終日は何かと頼ってしまう悪魔のレンズ「AF-S DX VR Zoom-Nikkor ED 18-200mm F3.5-5.6G (IF)
」をメインに使ってみた。先の2種類のバルーンの写真は前者がワイド側、後者がテレ側という使い分け。勿論、C-PLフィルタは必須です。
先ほどの写真を横位置で撮ったのが次の写真。
縦位置では高度差が強調されるのに対し、横位置では横に広がる、空の高さよりも広さが強調されたものになります。左がグラウンド上空、右が先に飛び立ったバルーンたちです。左下から右へと流れていくバルーンって感じで、これもまたいいんじゃない?
バルーンは、横から撮った方が「いかにも気球」なんですが、中村グラウンド上空のバルーンを、ほぼ真下から狙うのも面白いと思ったのがコレ。
大空という空間の中で、ゴンドラの上にのぞくバルーン内部のもう一つの空間。通常なら大空の明るさとの明度差で室内というものは真っ暗になってしまうところ、バルーンの中の明るさがよく分かる。
殆どのバルーンが飛び立ったところで、残された数少ないバルーンを更にワイドで撮ってみたいと思い、シグマの超広角ズーム「10-20mm F4-5.6 EX DC /HSM」に切り替えた。そして、飛び立つ瞬間に「寄って」撮ってみた。
気球がフワッと浮かび上がって、チームメイトに見送られるシーン。超広角の変形で構図的にも面白いと思った。日中ながらバーナーの炎も写し込んでいるので、それらしい写真になったと思う。できれば、もうちょっと寄りたかった。
寄りたいと思いつつ、離れてしまったのが次の写真。
できれば、下のオネエチャン達に、もうちょっとかわいく無邪気に手を振ってほしかった。できれば、もうちょっと下から撮りたかったなぁ。
……で、殆どが飛び立ってしまった後に車に飛び乗って、気球を追いかける。国道156号線を横断して砺波市役所付近の上空に気球が集まっている。しかも、高度を下げているので、面白い写真が撮れるのでは……と思ったのだが、到着した時にはかなり散らばってしまっていた。
散居村の田園地帯に浮かぶバルーンたち……といきたいところだが、着陸しているバルーンもあったりして少々つまらん写真になってしまった。もう少し早く移動しておくべきだった。
ふと、目線を横にずらすと、田んぼの真ん中に大会役員らしき人が立って上空を眺めている。田んぼの中には水色のシートで作られたターゲットの「×」がある。
田んぼのド真ん中にターゲットを設定するのが砺波流?
バルーン競技って何を競うんだろうか……と思いつつ調べてこなかったのが不覚だったのだが、この辺のサイトを調べてみると結構色々とあるんだなと思った。最終日にやっていたのは、どうも「ジャッジデクレアードゴール」ってヤツじゃないかなって思った。ちなみに2日目にやっていたのは、どうも「ヘア・アンド・ハウンド」かと思う。
このターゲット付近での写真がコレ。
マーカーを落として、50cmくらいまで近づけることもあるらしい
左下に競技役員が2名。ここにターゲットがあるのだが、そこに気球が接近している。それにしても、風まかせとはいいながら、ここまで来る精度に感心した。次に開催される時には、是非ともターゲット位置とか競技内容をシッカリ確認して臨みたいと思う。
ターゲットにマーカーを落としたチームのバルーンはちょっと離れたところの田んぼに着陸しているようだ。
奥に、散居村の屋敷林が見える。これはこれで、砺波でのバルーン大会っぽくで良いではないか!縦位置で撮ったのが次の写真。
1軒のお宅を中心に撮ってみた。ここでバルーンに穴が空いたら大惨事!?
最後に田園地帯の中を横切る道路も入れて撮ってみました。
それにしても、日ごろからこんな風景が見られたら、どんなにかストレスのない日常になるだろうと思った。スピードをガンガン上げて走る車の中、スピードとは無縁でぷかぷかと浮かんで移動する気球……いいじゃないか。
ちなみに、バルーン競技が何ゆえにこんな早朝に行われるのかと言うと、太陽が上がってしまうと地表が暖まって上昇気流やら下降気流が発生して気球を飛ばすには危険なんだそうな。お猿はてっきり、チームメンバーがワンボックスカーでバルーンを追いかけるのに車の通行量の少ない時間を選んで、かつ、落下しても被害の少ない時間帯を選んだのだと思っていましたが、かすりもしませんでした。日の出から3時間以内が限界なんだそうですよ。
そんなこんなで、バルーンの撮影は終ったのでした。……で競技の結果は?
全く、興味がありません!!
……ということで、どこが勝ったのやら負けたのやら知りません。楽しい写真が撮れればそれでOKじゃん!!そんなワケで、今回の「スカイフェスとなみ バルーン大会」の撮影レポは終了です。
この後、お猿は同じ砺波市内で行われている「となみ夢の平 コスモスウォッチング」の撮影に向かいました。コスモスの満開は10月10日で、スカイフェス最終日は3日ほど経過したあとでしたが、まだまだ見ごろでしたよ!
やっぱり秋はコスモスだよね!快晴になると実に気持ちよく撮影ができます!
更に、スカイフェス2日目は、かなりガスのかかった晴れだったのですが、この日は真っ青の晴天!富山にしちゃ珍しい!次回は、この「となみ夢の平 コスモスウォッチング」の撮影レポートで行きたいと思います。
恐らく、コスモスだらけの写真になると思いますが、気の向いた人は見てやってくださいね!!
ではでは。
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コメント
はじめまして
スカイフェスで検索していたらたどり着きました
今大会の安全&競技委員長しておりました
初日は天候不順でしたが二日間は絶好の気球日和になり、
参加チームも存分にフライトできたのとともに無事大会が終了し、ほっとしております
私自身は大会運営側になっていたためフライトはできなかったのですが、
チームはフライトして地元開催なのに地元チームが総合2位などとトンデモナイことしてくれました(笑
大変あつかましいことなのですが、ぜひこれらの画像データが欲しいのですが・・・
どうぞよろしくお願いいたします
投稿: 競技委員長 | 2008年10月15日 (水) 21時55分
おおおっキター。とはしゃいでしまうくらい色のきれいな写真が満載。
悪魔のレンズ!
大活躍ですねー。
すごく綺麗な色が出ていますね。
すばらしいの一言です。
何やら違う世界の絵画を見ているようです。
投稿: べあまんさん | 2008年10月16日 (木) 00時03分
35mmフイルムスキャニングに興味を持っています。
私は、よくDPEでW4にプリントの依頼をしますが、実際のオペレーターの方は、ゴミとの戦いなのですね。
私は、フイルムを自宅のEPSONフラットヘッドスキャナーでたまに読み込みますが、何故だかあまり良いデジタルデーターが作成できません。一つは、ゴミの問題があるのですが、根本的には、実際のDPEで使われているスキャナーのフイルムスキャンとの性能差が在ると感じていますがどうなのでしょうか?
お猿さんのすぐそばに、hideが住んでいたならば、色々とフイルムスキャンを有償でお願いしたい気持ちで残念です。
投稿: cameraman_hide | 2008年10月16日 (木) 00時17分
皆さん、すっかりご無沙汰しておりました!
○競技委員長さん、コメント有難うございます!
いや、まさか競技委員長さんがいらっしゃるとは!!
初日のナイトフェスからの参加だったので、日中は把握していませんでしたが、初日は悪天候だったんですね。
競技そのものも初めて拝見しましたが、すごいですね。ボンベを積んで浮かぶのが凄かったです。
それにしても、後の2日間は晴天でよかったですね。気持ちよく撮影させていただきました!
写真の件はメールさせていただきましたので、ご覧くださいね!
○べあまんさん、コメント有難うございます!
なんやかんやと短時間で色々と撮りたい場合は悪魔のレンズは優秀ですね。描写もそこそこキテますし。
今回は「派手でいいじゃん!」ってことで「ビビッド」で撮影しています。それで余計に綺麗なんでしょう。空も少々ガスっていたので、それでバルーンの鮮やかさを出してみました。色飽和は起きていないのでは……と思います。
是非、バルーン撮影もチャレンジしてみてください!
○cameraman_hideさん、コメント有難うございます!
35mmフィルムのスキャンは、やっぱり気を張りますね。
ブロワーにフィルムクリーナーは欠かせません。
あと、やっぱりポジスキャンは印刷業界ではスタンダードだったので、そこら辺はコンシューマ向けとは違うと思います。ドラムスキャナならフォトマルつかっているんで、ダイナミックレンジも全く違うんですけどね。
フィルムスキャンは手間がかかるんで、大量注文は悲鳴モンですね。
投稿: フォトグラファー猿 | 2008年10月20日 (月) 22時06分